子どもの“超”能力を恐ろしい形でみせつける作品
ある大きな団地内で謎の死亡事件が20件以上続いている。自殺・事故・事件と状況はさまざまで、手がかりがつかめない。ある日、担当部長刑事が犯人と接触し殺されたところで、読者に正体が明かされる。超能力を持った子ども達の闘い。大人には全く真相がつかめない。かろうじてシャーマンを名乗る女性が恐ろしさを感じ取るだけ。
読者の立場からみると、感情移入した対象が次々と死んでいくのでショックの連続。なぜ老人の中身が子どもなのか(チョウさん自身が子ども返りしているのか、他の子の魂に乗っ取られているのか)、なぜ悦子は戻って来られたのか、闘いが終了したあと悦子はどうなったのか、詳細は語られないまま余韻を残して物語も終わります。実際に対峙するのは超能力を持った二人ですが、団地の子ども達も異変を感じる力は持っていて、大人と子どもの感性の違いを見せつけられます。
漫画家の杉浦直樹氏が「チョウさんが宙に浮いている描写に愕然とした」と語っておられましたが、納得です。
第15回星雲賞コミック部門受賞。第4回日本SF大賞受賞。