ある雨の日、濡れていた年寄りネコを連れ帰った9歳のエルマー。ネコから、どうぶつ島に捕らわれているかわいそうなりゅうの子の話を聞き、助けに行く決意をする。ネコのアドバイスで棒付きキャンディや歯磨きセットや長靴など必要な物をリュックサックに入れ、船に忍び込んだエルマーは、無事にりゅうの子を助けて逃げることができるのか。

私がまず気に入ったのは、エルマーがネコにかけた言葉と挿絵です。「雨宿りをさせてあげる」みたいな上から目線ではなく「ぼくのうちにきてみませんか？」と招待するような丁寧な声がけ。そしてまさにその言葉をかけた瞬間だとわかる姿勢のエルマーを描いた鉛筆画のような挿絵。この見開きだけで物語への期待がふくらみ、読むのが楽しみになります。

エルマーがネコに言われて持っていった品が、ことごとく役に立つのも気持ちの良い展開。日本での出版から60年以上のロングセラーを続けている理由がわかります。