解体されるはずだった洋館を作者自身が救った実話 <全3巻>
東京都世田谷区にある水色の洋館“旧尾崎テオドラ邸”
作者の山下和美さんはこの館に一目惚れ。近所に家を建て、館の隣に住む家主の親戚の方と親しくなり、館に入れてもらいます。そうこうしているうち、家主が土地ごと館を手放そうとしている事を知ります。さらに2019年、館が解体され住宅の建設と道路が通る計画があることを聞き、居ても立っても居られなくなり、行動を起こすことになります。
調べてみると歴史的意義のある館。周囲の人と協力して保存活動を開始。紆余曲折あるも、SNSやクラファンというこの時代ならではの武器も使い、区議や都知事の助けもあり、とうとう保存に成功します。
その保存プロジェクトのドキュメンタリー「そして、水色の家は残った〜“世田谷イチ”古い洋館の135年物語〜」が、2023年2月にBSプレミアムで放送されました。
そして2024年3月、カフェを併設したギャラリーとしてオープンしました。
山下さん自身が事の顛末を描いたこのマンガを読むと、古いものを残し維持していくことの難しさや大変さが伝わってきます。でも、ピンチになるとどこからか救世主が現れる奇跡も起き、「館自身がその行き先を切り開いている」と感じられたようです。何はともあれ、理想的な形で残って良かったです。