ルソーに対する愛、絵画や美術に対する愛が溢れる物語
大原美術館の監視員とニューヨーク近代美術館(MoMA)のキュレーターが極秘にスイスの大富豪宅に呼ばれた。MoMA所蔵のアンリ・ルソーの「夢」とほぼ同じ絵を目にした二人。真作か贋作か。鑑定は従来の方法ではなく「ある物語を1日1章読み、7日目に講評。よりすぐれた方にこの作品の取り扱い権利を譲渡する」という驚くべき提示をされる。
実在する美術館や絵画、出来事を基にしたフィクションですが、本当にこんなやりとりがあったのかも、と思わせるような期待感やゾクゾク感があります。そして、登場人物達のルソーに対する熱い想いが伝わって、ルソー好きな私は嬉しくなりました。
ひろしま美術館所蔵の「要塞の眺め」という作品が大好きなので、行く度に必ず観て帰ります。この本を読んだ後、“この絵にも隠された物語があるのかも”と想像しながら観ています。