世界はもっと美しくなる 奈良少年刑務所詩集
ジャンル | 単行本 |
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作者 | 詩:奈良少年刑務所受刑者 / 編:寮 美千子 |
発行年 | 2018年(第1刷:2016年) |
出版社 | ロクリン社 |
思い入れ度 | ★★★☆☆ |
“加害者である前に被害者だった”受刑者たちの素直な心の声
「数多くのメディアで紹介された話題作」「心に迫るドキュメンタリー」「少年刑務所受刑者たちが綴った感動の詩集」といったキャッチコピーが並ぶこの本は、「奈良少年刑務所」(2017年廃庁)の受刑者たちが受けた「社会性涵養プログラム」の一環で作られた詩をまとめたもので、第二弾です。
(第一弾は『空が青いから白をえらんだのです』)
短いもの、長いもの、後悔、懺悔、辛かったこと、願い、幸せの記憶、誓いなどなど、それぞれの心の声を言葉にのせた詩。これらが書かれるようになるまでには、キレイごとの言葉を並べる少年、何を書いて良いのかわからずとまどう少年たちを根気よく指導していった担当者(編者)と教官の努力と使命感があってのこと。
半年間に渡る授業を体験する内、自分の素直な心や弱い心を人前で話せるようになったり、人の詩や話を聞くうちに自分の気持ちを再確認したり解放できたり、といった変化が生まれ、更生につながっていく。書くことの意義を強く感じられる本です。
タイトルの意味、読む前に想像していたものとは違っていました。その感性が素晴らしいと思います。
受刑者はモンスターではない。犯罪者になってしまった理由がちゃんとある。そういうことを思い知らされます。