農薬の恐ろしさを告発し、環境保護運動のきっかけとなったベストセラー
人間は自分達に都合の悪い虫や動植物を簡単に排除しようとします。肌を刺す蚊やダニなどから身を守るため、食糧品を狙うネズミなどを殺傷するため、育てている植物に害虫が付くのを防ぐため、庭に雑草が生えるのを防ぐため。生物多様性が叫ばれる以前も以後もスーパーやホームセンターには様々な殺虫剤や化学薬品が並び、用途に合わせていくらでも購入できます。
確かに蚊やダニは血液を吸うだけでなく、病気に感染する危険があります。ネズミもしかり。排除したくなるのは当然です。
しかしそれらの殺虫剤には「使用上の注意をよく読んで」「目や口に入らないように注意」とは書いてありますが「人体には有害です」と明確に謳ってはいないでしょう。そしてそれらの化学薬品がその後どのくらい残留して、環境にどんな影響を与えていくのかを消費者に示す資料は無く、私達も疑うことはほぼ無いと言えます。
この本は主に広範囲に渡る農薬散布の恐ろしさを訴えていますが、自分の身の回りでも化学薬品を使うことが怖くなると同時に、もう地球上の土や水や大気は汚染されて尽くしているような気もします。安全な食料というものはどこにもないのではないか、と。
けれど、何もしないわけにはいきません。政府や企業広告を鵜呑みにせず、できるだけ化学薬品を使わず、地産地消を心がけて選ぶ。身近でやれることはやっていきたいと思います。