自然に驚く感性を育てた筆者の絶筆となったエッセイ
タイトルを直訳すれば「驚く感性」。この本の訳者である上遠恵子は「神秘さや不思議さに目を見はる感性」と訳しています。
生物学者であり作家でもある著者は、昼夜も天候も問わず甥(正確には姪の息子)と一緒に海辺や森を散策し、自然に触れ、星空を眺める「自然界への探検」を続けました。
二人は嵐の夜の海辺でも喜びに満たされて笑い合い、睡眠時間を気にすることなく満月が沈んでいくのを眺めたりします。
子どものうちに感性を育てる必要性を説いたこのエッセイは、雑誌に掲載したものを編集したものですが、単行本にする過程で筆者は病死してしまいました。そのため、伝えたかった内容の全てではないと思いますが、想いは充分に伝わる描写となっています。
福岡伸一、若松英輔、大隈典子、角野栄子という4人の著名人によるエッセイが付いているのは日本版ならではの特典でしょうか。