水墨画とは何か、作品から画家の人間性をそこまで感じられるのか、と驚嘆。
この本は、母の知り合いにいただいたもので、作者はその方の友人の息子さんとのこと。カバーのイラストを描かれたのは丹地陽子さん。この方は、2018年に中国新聞セレクトで連載されていた恩田 陸さんの『スキマワラシ』という小説の挿絵を描かれていて、好感を持っておりました。そういう諸々の縁を感じなから読み始め、6〜7割読み進めた頃に、“主人公が両親を亡くし、親戚が借りてくれた部屋に住む”という同じような設定の映画「空に住む」を観て、残りを一気に読み終えました。「喪失から再生(救い)へ」というよくあるテーマですが、再生へのキッカケが水墨画(芸術)というのは新しいと思います。作者が水墨画家ということもあり、線や絵の表現が独特かつ豊かで想像が広がり、実際に描かれたものを観てみたいと思わせます。マンガ化されているようですが、映像でも観たいなぁ。