ちょっと不思議で不気味な“恩田陸予告編”的短編集
10の短編が収められていますが、最初の「春よ、こい」を読んだ時、時系列がわからなくて「???」となり、「あー普通に読んでしまっていたけど、恩田陸だった。」と思い直しました。“ちょっと不思議で、ちょっと不気味な話を書く人”というイメージだったのに「春よ、こい」という短編タイトルで油断してました。
本のタイトルにもなっている「図書室の海」は、『六番目の小夜子』の番外編なので、少し怖い雰囲気を醸しだしてますが、こちらは爽やかな青春ものでした。
あとがきで著者が書いていますが、「国境の南」には元ネタがあります。写真を載せていますが、立原えりか 著『恋する魔女』の中の「趣味は殺人」という話です。喫茶店で何度も水を頼まない方が良いのかもしれませんよ。
“恩田陸予告編”的というのは、解説を書いている山形浩生氏の言葉を借りたもの。「本書を読むと、なじみ深い人々や場面に出くわすことだろう」とある通りです。