本好きには悪夢のようなディストピア
近未来(遠未来、とする文章もあり)のアメリカ。本を焼き、本がある家を焼くファイアマン(焚書官)という仕事に就いている30過ぎのモンターグ。隣に越してきた17歳のクラリスと会話を交わすことで、徐々に自分の仕事や生活に疑問を持ち始め、仕事中に本を隠し持って帰り、読んでしまう。
人間の愚かさ、全体主義的社会の怖さ、“知“や“思考”の大切さ、そして記憶して口伝することの意味が描かれています。
政府やマスメディアによる検閲による思想統制、言論の自由の抑圧は決してあってはならないと思いますが、支配者側に立てばやりたがるというのもわかります。理想や目的を明確に持っている支配者なら特に。だからこそ私達は自分の頭で考え、感じ、発言・発信することを止めてはいけないな、と強く思います。どうかこれが「予言の書」になりませんように。
ちなみに華氏451度の意味は、“本のページに火がつき、燃えあがる温度”とのことです。