立原えりか童話集 Ⅳ
妖精や小人が出てきたり、主人公が不思議な体験をする、ファンタジーやメルヘンの作品を数多く発表してきた立原えりか。
この本はまさにタイトル通り、妖精が出てくる作品が多く掲載されています。
「小さい妖精の小さいギター」は、年に一度のお祭りの日に、人間の願いを叶えてくれる妖精の話。小さい妖精はまだその役目ができず不満を持っていました。ある年、ようやく祭りに連れて行ってもらった小さい妖精は、おとうさんに無断で女の人の願いを叶えてしまうのでした。
「うそつき」は、ちょっと他と違う構成になっています。町外れの荒れ野で、妖精かな?と思わせる少女に出会った少年。実は残念な人間だったとわかって失望します。少年を失望させたことがわかった少女は、花の中に消えていくのです。
表題の「妖精たち」は、15歳になったマオの1年間のお話。生まれた時にカシの木の精にキスをされて、妖精が見える目を持ったマオですが、そんなことはすっかり忘れていました。2月のある夜、野原の主が訪ねてきて依頼ごとをしていきました。さて、マオはどうするのでしょうか。
さまざまな読後感のある短編集です。