意思を貫くことの喜びと孤独さと崇高さを描き出す
ジョナサン・リヴィングストンは“飛行”そのものが大好きで、食べることは二の次、来る日も来る日も飛行訓練に熱中するカモメ。当然他のカモメ達からは奇異の目で見られるが、意に介さなかった。高等飛行技術を身につけ限界を突破し自由になれる実感があったある朝、<評議集会>に呼び出され、非難されて群れを追放される。
遠くの地に行き、それでも飛行技術に磨きをかける孤高の彼の元へ、同じように飛べる二羽のカモメが現れ、ジョナサンをもっと高みへ連れて行く。
1970年にアメリカで出版された時は、ヒッピー達が好んで読み、口コミで広がりヒットに繋がったとのこと。慣習や文化、しがらみなどから自由になり、自己の解放や限界への挑戦、精神世界の探究を試みる孤独な闘いと喜びが描かれます。
この本には第三章までしかありませんが、元々著者が書いていながら封印していた第四章が追加された[完全版]が2014年に出版されています。
訳は五木寛之。しかしながら彼はこの作品に多少の違和感を覚えていて、そのことを後書きに記しています。
ラッセル・マンソン撮影のカモメの写真がけっこうな枚数で挿入されているからなのか、表紙が硬めで、中の紙も少し厚め、新書より少し大きめのしっかりした本です。
