イタリアの山奥から育った本の行商人のノンフィクション
とあるヴェネチアの古書店の店主は客が必要としている本を的確に探し出す。先祖がモンテレッジォ出身の本の行商人で、村の夏祭りの主役は本だと聞いた著者は、幾つもの疑問を抱えて村を訪ねる。
北イタリアの山岳地帯にある小さな村の周辺には石と栗の木しかない。なぜそんな山奥の住人が本の行商人となったのか。どこから本を仕入れ、誰に売ったのか。なぜイタリアの最も由緒ある文学賞の名前が「露天商賞」なのか。
何度も村に足を運び、人に会って話を聞き、膨大な資料を読み込んで、多くの謎を解き明した著者の言葉 “モンテレッジォは、本の魂が生まれた村”
重たい本を担いで道なき道を行き、毛細血管のごとく隅々まで売り歩いた彼らは、顧客はもとより出版社からも絶大な信頼を得、イタリア〜ヨーロッパの文化を支えた。「文化は重たいものなのです」
本は本当に重いです。なので、行商人たちは内容を要約して手軽に紹介できる形を作り出しました。文庫のルーツはイタリアにあったのですね。でも文化の重みは変わりません。この本は写真も豊富なので、文庫で読むよりも単行本がお薦めです。