探偵でも警察官でもないサラリーマンが事件の真相を探し当てる
今多コンツェルンの広報室に勤務する杉村三郎。義父である今多会長の運転手が事故に遭って亡くなり、その娘二人からの複雑な依頼を受けることになる。犯人探しではないその依頼のための調査をする内、事故の真相と犯人、運転手の過去と娘二人の関係など、まるで探偵のように謎を解きほぐしていくこととなる。
筆者が言っているように、杉村三郎は妻と娘に恵まれた平凡で目立たないサラリーマンです。ただ、妻が裕福な家庭の娘だということで、時々他人から心無い言葉をかけられることがあります。言われ慣れている三郎は、いちいち傷つきはしませんが、理不尽な状況で酷いことを言われることもあり、母の言葉を思い出します。「人間てのは、誰だって相手が一番言われたくないと思っていることを言う口を持ってるんだ。どんなバカでも、その狙いだけは、そりゃあもう正確なもんなんだから。」
イヤになるくらい的を射ているな、とため息が出ます。宮部みゆきは本当に人間をよく知っています。