いつの時代に読んでも刺さる普遍的なテーマ
珍しいことに、本の表紙に内容が書いてあります。
「時間どろぼうと ぬすまれた時間 を人間にとりかえしてくれた女の子のふしぎな物語」
確かに『モモ』というタイトルだけでは、人の名前か果物か体の一部か全くわかりませんものね。
時間どろぼうをする灰色の男達は人間に「ムダなことを省いてとにかく時間を節約すること」を勧め、洗脳された人達は次第に不機嫌で怒りっぽくなっていきます。
1973年にドイツで刊行された物語ですが、まさにタイパ重視の現代人のことですね。50 年前から、効率重視のせかせかした世の中を危惧した人々はいたということ。そしてその頃にはなかった“タイパ”という言葉が生まれているということは、状況は悪化しているということ。
この物語だけでなく、優れた作品は普遍的なテーマを持っているものですが、普遍的ということは“警告しても結局変わらない”ということでもあるのですよね。